Deep Percept株式会社はシンプレクス・ホールディングス株式会社のグループ企業として、金融領域のAIソリューションを提供しています。コンサルティング、AIアルゴリズムの設計、システム実装といった、上流から下流までのサービスを一気通貫で提供するのが特徴です。また独自開発のプロダクトとして、顧客企業の様々なシステムに散在するデータを収集してAIモデルの運用を行えるプラットフォームや、AIを用いたOCRプロダクト、画像認識技術を応用した本人確認ソリューションなどを提供しています。
今回はDeep Perceptで勤務する3名の方に、業務内容や会社の特徴について伺いました。

細川 暢(Toru Hosokawa)
Deep Percept株式会社

白井 翔太(Shota Shirai)
Deep Percept株式会社

氏弘 一也(Kazuya Ujihiro)
Deep Percept株式会社
この記事の目次
大学院での研究内容はそれぞれ異なる分野。入社後のAIに対する想いや知識が結実してDeep Perceptに
金融×AIの領域で常に高みを目指すプロフェッショナル集団
問題解決や論理的思考に根差した技術力と知見。AIソリューションで世の中を変える
大学院での研究内容はそれぞれ異なる分野。入社後のAIに対する想いや知識が結実してDeep Perceptに
── 最初に、学生時代に興味のあった分野について教えてください。
細川私は大学に入る前に科学雑誌のニュートン、QuarkやTHE CELLを愛読しており、生命や宇宙といった分野に興味がありました。また同時に、コンピュータも好きで自作PCを作るなどしていたため、生命とコンピュータの両方を扱えるバイオインフォマティクスが面白そうだと思い、その分野の研究室を選択しました。修士論文のテーマは抗体たんぱく質抗原認識部位の立体構造予測でした。
白井私は学部が数学科であり、大学以降に学ぶような高度な数学を活かせる仕事として、アクチュアリーやクオンツといった金融業界の職種に興味があったので、数値計算やプログラミングを身につけておきたいと考え、修士課程の研究室を選びました。
氏弘私は高校生のときに、遺伝子組み換え技術を用いて人間を改造することで争いが起こらない世界を目指すというSF小説を読んでバイオテクノロジーに興味を持ちました。人間に直接影響を与えるバイオテクノロジーを研究するとなると医療への応用だと考え、がん細胞の分裂をテーマに研究している研究室を選択しました。修士課程では、原生生物のテトラヒメナがヒトの細胞老化の研究に貢献したように、ミドリゾウリムシを用いて細胞分裂のメカニズムの解明を通じてがん細胞の抑制に貢献できるのではと考え、ミドリゾウリムシ体内に蓄積する遊離糖について研究していました。
── 皆さん分野はそれぞれですが、自然科学や数学への興味といった点では共通項がありそうですね。就職活動ではどのような分野の企業に応募しましたか?
細川私は、1からシステムを作れる業務に携わりたくて、SIerを中心に10社程度の選考を受けました。自社サービスを開発している企業の場合、基本的に既存システムのメンテナンス・エンハンスを行うことになりますが、SIerの場合は顧客からの受託に応じて案件が発生するため、システム作りに1から携わるチャンスが多いです。その方が自分の成長が期待できますし、何より楽しそうだと思いました。その中での企業選びではしっかりしたノウハウがあるかを重視していましたが、企業研究をした時に自分が実際に働いているイメージが湧かず、もっと具体的に知りたいと思ったため、40人ぐらいOB訪問をして話を聞きました。この経験は就活をする上で大変役に立ったと思います。
白井分野は大きくわけて2つあり、1つ目はアクチュアリーやクオンツといった金融業界で、銀行・証券会社・保険会社といった会社の説明会に参加・選考に応募していました。また2つ目の分野として、大学院でプログラミングを習得し面白さを実感できたので、SIerやITコンサルも選択肢に含めて就活をしていました。
── SIerを志望されていたようですが、就職前からプログラミングやAIに関する知識はお持ちでしたか?また就職先を決めたきっかけについて教えてください。
細川私は大学院の研究でRubyのプログラミングをしていましたが、あまりスキルレベルは高くなかったと思います。またAIスキルについては、PRML(Pattern Recognition and Machine Learning)は輪読会があったために知識がありましたが、その他の分野については扱っていませんでした。
その後、新卒ではあるITコンサルティングファームに入社しましたが、その企業では開発力があまり重視されておらず、管理タスクの割合が大きいことが不満でした。もっとITの技術力で勝負したいと思って転職を決意し、技術力の高いシンプレクスに入社しました。入社後も上司との面談でAIをやりたいとの想いを伝えていましたが、結果としてDeep Perceptの設立にあたって初期メンバーとして抜擢して頂けました。どんな仕事でも全力でやり切ってきたことを評価していただき、チャンスをもらえたのではないかと思っています。
白井私は新卒でシンプレクスに入社しました。理由は、同社が金融×IT×数学を強みとする会社であり、自分が得意な数学やプログラミングが仕事に活かせそうだと思ったからです。また会社説明や面接を通して感じた実力主義的な風土や、エンジニアリングに特化したキャリアパスが用意されている点も魅力的でした。
その後、研修の一環で社外のAI研修に参加し、その研修で学んだことを社内勉強会で共有する活動をしてきました。その活動が上司の目に留まり、AI子会社であるDeep Perceptの立ち上げが決まったとき、初期メンバーとしてアサインされて今に至ります。
氏弘私は博士進学と迷っていたのであまり多くの会社にはエントリーしませんでしたし、プログラミング・AIの知識はゼロといっていいレベルでした。ベンチャー中心の企業を紹介しているサイトでシンプレクスを知りました。会社の理念(5DNA)に共感し、要件定義・開発・テスト・運用まで一気通貫してサービスに関わることができるのは面白そうだと思って入社を決めました。入社後は金融、保険の業務システム開発に従事していましたが、一度転職してシンプレクスを離れ、あるロボティクス企業で自然言語処理や画像処理の開発をしていました。そこでいわゆるAI系の技術を身に着けていましたが、Deep Percept設立の話を受け、再度転職することを決意しました。もともとシンプレクスに勤務していたことによる業務知識に加え、転職先での機械学習の知識があるために声をかけていただけたと思います。
金融×AIの領域で常に高みを目指すプロフェッショナル集団
── 現在はDeep Perceptでどのような業務をされていますか?
細川私は時系列データから将来の何らかの値を予測する仕事をしています。予測というと華やかですが、データの性質についての仮説を立て、それを検証するためのグラフや統計情報を作成して仮説を検証していくような、非常に泥臭い仕事です。それでも金融時系列データ分析は様々な研究があり、それらを駆使しながらモデルを改善することは非常に面白い業務です。
白井私はAI活用のためのワークフローをサポートするプラットフォームの開発リーダーとして、コンセプト設計から実際の開発・テスト・導入を行っています。Deep Perceptのデータサイエンティストと顧客企業のデータサイエンティストが協働作業を行うためのプラットフォームで、データ収集、前処理、機械学習、モデル評価、デプロイといった様々なワークフローを一気通貫でサポートしています。
氏弘私は機械学習案件のシステム・サービスの設計やモデリング、開発を行っています。例えばAI-OCRという定型/非定型、手書き/活字など様々なシチュエーションで活用できるOCRアプリケーションを開発しており、機械学習モデル、画面、サーバーサイドなどサービスに関わる全機能の開発ができるので非常に面白い案件です。またその他には株価や為替の価格/需要を予測する機械学習モデルや基盤の構築も行っており、日々刻々と変わるデータに対して分析を行うので、分析のたびに新しい発見が得られ、興味が尽きることはありません。業務で用いる先進的な技術に関する調査も行っており、月に数回程度の頻度で勉強会を開催しているほか、日々面白い論文やブログがあればslackで社内共有/解説しています。
── Deep Perceptはどのような会社か教えてください。
白井入社前に予想していた通り、優秀な方が多く刺激的な環境だと感じました。モチベーションの高いメンバーが揃っているので仕事のスピードが速く、それに必死でついていくために自分の成長速度も自然と速くなっていると思います。厳しい環境に身を置いたほうが成長できると思ってシンプレクスに入社したので、ギャップはありませんでした。企業風土としても実力主義であり、結果をきちんと評価されていると感じています。実力主義といっても「どれだけ成長できたか」「どれだけ会社に貢献できたか」が評価のポイントなので、社内の雰囲気が悪くなることはなく、助け合いながら常に高みを目指すプロフェッショナル集団、というイメージです。
氏弘入社してから感じたのは、仕事に対してポジティブな人が多いと思います。興味のある領域で仕事をしているからか、モチベーションが高く前向きに業務に取り組む雰囲気があります。また、能動的に動けば周囲から色々とフォローしてもらえますし、一つひとつの案件の規模も大きいため顧客からの期待値も大きい仕事です。案件規模が大きくなると自分だけではカバーできない部分が増えますが、メンバーと協力しながら課題を乗り越え、顧客の期待値を上回っていく。そのような開発に携われる業務に面白みを感じています。
問題解決や論理的思考に根差した技術力と知見。AIソリューションで世の中を変える
── 学生時代に学んだことで役に立ったことや、逆にやっておけばよかったと思うことについて教えてください。
細川知識の面では、機械学習で線形代数などの数学の知識が役に立っています。それでも数学、英語はAIの仕事をする上で必須のスキルなので、もっと勉強しておけば良かったと思います。汎用的なスキルとしては、問題解決の基礎、つまり大きな問題を分割してピラミッド構造を作り、下層の小さな問題から一つずつ解決していくというフローは仕事でも研究でも同様に役に立つと思います。また、周りの人と良い関係を築いたことは仕事上でも、自分の人生を豊かにするという点でもとても大事なことでした。大学時代の友人とは今でも親交があり、皆それぞれの分野で成功しているので困った時に助けてもらっています。
白井大学院時代に勉強したプログラミングは業務に直結して役に立っています。抽象的な数学の理論については、業務に直接関係はないものの、数学の勉強・研究を通じて得られた論理的思考力や考え抜く粘り強さなどは業務の役に立っていると思います。特に数学の勉強方法の1つとして、その分野の名著と言われる教科書を1つ選び、半年から一年くらいかけて徹底的に読み込むといったやり方があります。時間はかかりますし、精神力も必要なのですが、論理的思考力や考え抜く粘り強さを鍛えることができます。社会人になってからはこのような時間を確保するのは難しいので、学生時代に経験できてよかったと思っています。
氏弘研究を進めるための「課題の把握、仮説、検証/観察、考察、先行研究の調査」といったプロセスはデータ分析にも活用できると思います。研究と仕事で共通するのは自分で考え、主体的に決めることだと思います。仕事では必ずしも指示があるわけではないので、自分で考えてなにかをやり遂げる経験は仕事をやる上でも重要です。自分で卒論、修論のテーマを決め、実験計画も主体的に決める。そのような環境を作ってくれた、フォローしてくれた先生には感謝しています。知識面では数学・統計、英語などの基礎知識が必要になりますが、これらは社会人になってから学習し直しているので、学生時代に一度きちんと勉強しておくと役に立つと思います。
── AI領域では社会人になってから数学、英語を勉強しなおしている方は多いですね。最後に、志望する学生に対してメッセージをお願いいたします。
細川私はスキルを身につける方法として、そのスキルを使う仕事に就くことが最も効率的だと考えて就職しました。実際、困った時にチームメンバーに助けてもったり、アドバイスをもらったりできますので独学よりも速くスキルが身についた実感があります。新卒の時期は未経験の壁を突破できるチャンスでもあるので、技術力を武器にしたいと考えている人はぜひ応募してみてほしいですね。特に、社会的な意義があるほど周囲の協力を得やすく成功する確率が上がると考えているので、世の中への「健全な不満足」を持っている人にチャレンジしてほしいと思います。技術で世の中を変えたいという思いを持って、「健全な不満足」をイノベーションに変える仕事が一緒にできればと思います。
氏弘社会人の最初の数年はビジネスマンとしての基礎能力を鍛える非常に重要な時期です。業務内容ももちろん大事ですが、自分の価値観と会社の価値観(カルチャー)がマッチしているかどうかをじっくり考えると良いと思います。Deep Perceptの価値観に共感できる方は、ぜひ選考にチャレンジしてみてほしいですね。IT・AI業界はものすごいスピードで進歩していて、大変だけど面白い、チャンスもある。一緒に世の中にインパクトを与えるようなプロダクトを作っていきたいと思います。
── 皆さんの仕事におけるプロフェッショナリズムが感じられるお話でした。本日はありがとうございました。